ユニバーサルサービスの適用範囲限定に加えてもうひとつ大きなインパクトを持つ施策は、光ファイバーの家庭への普及を加速させることだ。インターネットの接続者数は1800万人(有線)まで来たが、その多くは通常の電話回線につながっている。読者の多くも日々経験しておられるように、33〜56Kbps程度のスピードでは、あまりに遅い。絵や写真が入った画面なら、全面がきれいに表示されるまでパソコンの前でじっと我慢せざるをえない。このイライラは血圧にもよい影響を与えないだろうと、みなさんフラストレーションを感じておられるとおりのことだ。たくさんのデータをダウンロードするときもまったく同じことで、途中で回線に不具合が生じ、何回もやりなおす不幸な経験をされた方も多いはずだ。せっかくの新兵器を使いはじめても、そのご利益が活かしきれていない。
コンピュータの分散システムのコミュニケーションについて、もう一つ重要なテーマがあります。一同期」と「非同期」という問題です。すなわちコミュニケーションの主体、人間なら人間が、コミュニケーションをめぐってどういう振舞いをするかということにかかわる問題です。同期型のコミュニケーションというのは、それぞれの主体の動きが、そのあいだのコミュニケーションを利用して動いているようなときのコミュニケーションです。別の言い方をすれば、何か指示を待ってから動くなど、コミュニケーションに基づいたほかの人の動きに依存して活動が起こされる、そのようなコミュニケーションです。はじまりと終わりを明確に定義して、コミュニケーションする主体がタイミングを合わせて実現するコミュニケーションといってもよい。たとえば電話がそうです(片方がかけても相手が出なければ成立しません。こちらがかけて、その時に相手が出ることでコミュニケーションが成立するわけです)。また、授業とか、ミーティング、放映時間があらかじめ知らされているテレビの番組なども同期型のコミュニケーションです。
楽天はもう一歩、飛躍を果たしたのだが、別の見方をするなら、資本市場から資金を調達したことによって株主の期待に応え、それにより利用者により多くの便益を供し、株主価値をさらに高めるために、ずっと成長させ続けていかなければならない企業の縮図がここにある。成長を続けなければならないことはいずれの企業も同じであるが、たとえば旅行代理店やネット証券会社の設立(M&A〈企業合併・買収〉を含む)などのサービス拡大(具だくさん化)をはじめ、ネットで置き換えられる既存事業への進出は、利用者の便益と自社の収益向上から言って当然であろうし、また、プロスポーツチームの経営も、ブランディング向上には欠かせなかったのだと思う。ただし、このような業容拡大も、これまでの路線の延長線上ではいずれ飽和するのは見えている。